流産や早産を引き起こす原因の1つに「子宮頸管無力症」という疾患があります。
発見・対処が遅れると高い確率で流産や早産となってしまいますが、早期発見・対処することができれば無事に出産することもできますよ。
今回は、子宮頸管無力症の原因や症状、治療についてお伝えします。
子宮頸管無力症とは
子宮頸管とは子宮と膣をつなぐ部分で、出産のときには赤ちゃんの通り道になります。
妊娠中の子宮頸管はしっかり閉じていますが、妊娠後期に入る頃から少しずつ柔らかくなり、出産がすすむと陣痛で子宮が収縮し、徐々に子宮頸管が短くなっていきます。
しかし、子宮頸管無力症になると出産の時期ではないのに子宮頸管が何らかの形で子宮を支えることが難しくなり、子宮口が開いてしまって妊娠が維持できなくなります。
子宮頸管無力症の原因
主な原因は子宮頸管がもともと短い、子宮に奇形があるなど、体質的に子宮頸部が弱いことにあるとされています。
体質以外にも出産経験がある、前回の出産で子宮頸管を裂傷をしている、過去に子宮頸管の手術(子宮頸部円錐切除術や子宮内容除去)を受けたことがあると、発症率が高まるといわれます。
子宮頸管無力症を経験したことがある場合、次の妊娠でも繰り返すといわれているので、早めに対処する必要があります。
子宮頸管無力症の症状
自覚症状
妊娠初期の段階では、自覚症状がないのが一般的で経膣エコーで発見されるか、流産によって診断を受ける場合がほとんどです。
妊娠中期になると、赤ちゃんが成長するにつれて子宮も大きくなってくるので、お腹の張りや出血などの自覚症状もみられるようになります。
発見が遅れると子宮口が開きかけて子宮収縮が起こりやすくなったり、破水が起こってしまったりします。
他覚症状
妊娠16週以降、経膣エコーで子宮収縮がない状態にも関わらず、子宮口が開いていることが確認されると診断されます。
子宮頚管無力症の治療
安静治療、薬物治療
在胎期間をできるだけ伸ばすため、安静にして経過観察をします。
自宅安静になるか入院が必要になるかは医師の判断によります。
子宮収縮がある場合は子宮収縮抑制剤を投与します。
手術療法
安静しても改善しなかったり、過去の妊娠で頸管無力症のため流産になっていたりするときは『子宮頸管縫縮術』という手術を行います。
子宮頸管縫縮術には、膣壁を切開して内子宮口に近い筋層に直接糸をかけて縛る『シロッカー法』と、切開せずに子宮頸部に4~5方向の縫合を入れて巾着のように縛る『マクドナルド法』があります。
マクドナルド法の方が比較的簡単で短時間で済むことから多く行われていますが、どちらの方法を選択するかは子宮頸管の状態をみて医師が判断します。
臨月に入り、赤ちゃんの発育が順調であれば出産予定日が近づいたころに抜糸をします。
抜糸後は早ければ当日、遅くとも数日以内には出産になることがほとんどです。
切迫早産で管理入院していたママさんたちは、抜糸した数日以内にはめでたく出産していました♪
子宮頚管無力症の予防
子宮頸管無力症は体質的なもの、または過去の出産や手術による影響なので、予防するのは困難です。
しかし、子宮頚管無力症の疑いや過去に既往があれば、早い段階で予防的手術を行って妊娠を継続することができます。